PTTORのSET上場を阻む譲渡問題

タイ石油公社(PTT)は国内の石油と天然ガスのコングロマリットですが、資産譲渡の進行に思っていたよりも長い時間がかかるため、その全額出資子会社であるPTTオイル・アンド・リテール(PTTOR)のタイ証券取引所(SET)上場計画を2018年から2019年まで繰り延べるかもしれません。

 PTT社の石油部門のシニア・エグゼクティブ・バイスプレジデントのオウトポル・レッピブーン氏によると、親会社からPTTORへの資産譲渡は、Private Investment in StateUndertakings Actに従って、民間公共パートナーシップの決議委員会からの承認が必要なため、当初の予定よりも時間がかかっているとしています。

 また多くのPTT社資産は国の機関との賃貸契約が結ばれており、PTTORへ譲渡される資産はPrivate Investment in State Undertakings Actに基づいて処理されなければなりません。

 以前、PTT社は今年度の下半期にPTTORへ資産譲渡完了し、2018年の初めには新規公開株(IPO)と同様に上場のための準備にも取り掛かると見込んでいました。膨大な面積の賃貸土地に設置されている200カ所以上の給油所がPTTORへ譲渡されます。PTT社の株主は資産の内1,220億バーツ分をPTTORへ譲渡することを承認しています。PTTOR社のIPOプログラムにおけるファイナンシャルアドバイザーは、資産譲渡の完了後、選任される予定です。PTTOR社がSETへ上場すれば、PTTエクスプロレーション&プロダクション社、PTTグローバル・ケミカル社、タイオイル社、IRPC社、GPSC社に続く、PTT社の6番目のコア事業となる見通しです。PTTOR社の主な資産には国内外の石油事業部門と非石油事業部門、石油パイプライン、航空燃料サービス、クッキングガス、潤滑油、調理用ガスが含まれています。国際石油貿易部門とクッキングガスの拠点は、それでもPTT社の管轄のままでしょう。PTTOR社は資本金87.8億バーツを申請しており、1株100バーツとしています。譲渡完了後、その資本額はさらに増えると考えています。PTT社の社長兼最高経営責任者であるテウィン・ウォンワニット氏によると、PTTOR社に対し保有株式45〜49%を計画しており、残りはIPOを通して浮動させる計画です。

海外投資家は全浮動株の25%までを上限にされています。PTTOR社は2021年までに1,500から1,800カ所の給油所を新たに設置する計画です。PTTOR社は、2020年までに、カンボジア、ミャンマー、ラオス、フィリピンにある給油所を170カ所から500ヵ所に増設する計画です。また同社は、2020年までにはアマゾンカフェを、通常店舗と給油所の併設店の両方の合計2,700店舗まで拡大する計画です。これにより過疎地域も含め大幅な人材の雇用促進が期待されています。潤滑油について、PTTOR社は、中国・インドに製造拠点を建設し、PTTブランド向けに両国から原材料を調達する計画です。PTTOR社は昨年度の総売上は4,840億バーツで、前年の5,110億バーツから減少しましたが、その一方で、純利益は99億バーツから161億バーツへ上昇したと報告しました。PTT社の株は昨日タイ証券取引所の終値で393バーツで変わらず、15.8億万バーツで取引を終えています。

タイの労働市場におけるトレンドは変わってきています。

労働市場が逼迫するにつれて、今年の有能な人材を獲得する企業の専門家は、代わりの仕事の手配を提供するより多くのポジションを補充し、ウェブサイトでの求人以外をを使用して組織のために適切な労働者を見つけるようになっています。

また注目すべきは、タイで雇用されている雇用管理者の86%が、東南アジアで働く日本人などの他国出身のアジア人の雇用が自社の課題に取り組むために必要な選択肢であると考えています。そのため、自国内の求人に関してはウェブサイトを利用して低コストに抑える傾向ありますが、「東南アジアで働く日本人などの外国人を獲得するために人材紹介会社を利用することが活発になり始めた」とタイの多くの企業の管理者は語っています。

<タイにある日系の人材紹介会社>
キャリアリンク タイランド
A-Link Recruitment
*各人材紹介会社のサイトに飛びます

また雇用管理者はウェブサイトなどのインターネットサービスや人材紹介会社を利用して獲得した人材を、今までのデータによる分析と人口知能ツールを活用して雇用者のスキルを見極め適したポジションを与えています。かつての多様化を促すための教育よりも、雇用者のスキルを重視したハイパーパーソナライゼーションを目指しています。

これらの傾向を踏まえて人材紹介会社やウェブサイトの技術者は、企業と労働者の関係を深く結びつけるために、様々なプログラムやシステムの開発を行っている状況です。このシステムが確立されると、「製造業からプロフェッショナルサービスや小売業まで、どのような業界の企業でも問題はありません。すべての企業をテクノロジー企業に分類することができます。」 と語るのはバンコクに支社を持つウェブサイト会社の技術者バイン氏です。

しかしハイパーパーソナライゼーションを核としたプログラムはすぐには出来ないので、今年のトレンドとしては労働者が雇用主のブランディングを理解することや、労働者の経験を改善していくこと、これらを元にした検索機能の改善が、先になると思います。

最先端共同研究

遺伝子編集と幹細胞治療の実現化の為、医学研究の新しい取り組みであるパートナーシップが推進されています。

 想像してみてください。珍しい遺伝性疾患の無い世界を。DNAコードに異常のあるまだ生まれてもないわが子の運命を決断する必要はありません。想像してみてください。細胞の損傷した組織を入れ替え、失った体のどの部分でも処置できると。想像してみてください。そんな日が訪れるのにそう時間はかかりません。現在、共同研究の新時代に、企業は健康を求めてともに協力しています。DNAコードの修復と、不治の病の治療法を見つけるためのベースとなるソリューションは既に発見されています。

 その取り組みは、つい最近までは実現にはほど遠いことでした。その当時、企業はそれぞれの社内だけで研究開発を行い、画期的な発見をしても、独自の治療法として社外秘にしていました。現在は多くの企業が社外の研究者とともにチームを組み、ヘルスケア向上のための最も良い治療法を見つける為、分野を越えて協力し合っています。

 もちろん、すべての医学的発見は、使用・商品化の前には今でも厳格なトライアルシステムを条件としています。そして常に研究者は、DNA編集と幹細胞治療は神への冒涜だする批判を浴びています。

 「今はっきりわかっていることは、複数の病気を持つ患者の高齢化が進む中、ニーズや需要に焦点をあてて取り組んでいるかどうかということ、共同研究が必要であることだと思います。」とバイエルAG社役員会のケマル・マリック氏はAsia Focusに対し述べました。

 「DNA編集と幹細胞による治療法は企業間共同研究の取り組みにより実現しました。」

 バイエルは現在、共同研究により同社のCRISPR−Cas DNA技術におけるCRISPR治療の導入を見込んでいます。CRISPR-Cashageは従来の方法よりも速く、安価で、正確なゲノム編集ツールです。また、それによって遺伝学者がDNAシークエンスのセクションを除外したり、加えたり、選択することができます。

 地価総額30億USドルの合弁会社は、現在、血液疾患、失明、先天性心臓病の新薬開発のための研究中です。CRISPRセラピユティックス社は3つの注目される企業の一つで、CRISPR(短いパリンドロームの反復を定期的に隙間に置く)テクノロジーの使用方法を見つけ出し、新治療の発見を目指して製薬大手企業が共同で研究しています。

 その他2社について、エディタス・メディシン社は、世界でジェネリック医薬品の製造をしているアラガン社と共同研究をしています。またインテリッア・セラピユティック社はスイスの多国籍製薬会社のノバティス社と研究をしています。

 CRISPRの遺伝子編集システムを体内の目的地まで運ぶ手段は、今のところ、細胞から取り出したDNAを修正し、また体内に戻すという方法です。

 「DNA編集はモレキュラーシザーズといって、DNAのエラーに行き、切り取り、DNAの良い部分とそれを取り替えることです。それは見つけて入れ替えるというワープロのようなものです。」と今月初旬、NUSエンタープライズ社主催のInnovfest Unboundでマリック医師は説明しました。ウィリアム・シェークスピア作ハムレットの5,000冊ものコピーがあって、そのうち一冊だけ、「to be or not to be」という台詞が「to be or to be」と書き換えられているとしたら。その一冊を見つけ出し、字が抜けているフレーズを探し出し、抜け字部分を正しく修正する必要があるとしたら。DNA編集が行っていることはそういうことなのです。

 この導入により、体から細胞を取り除く必要なく、CRISPR治療を行う新たな方法を発見しようとチャレンジしています。それは困難なことです。なぜならば並外れた正確さが求められ、ターゲットの特定細胞に問題なく医薬品が使用されるために「非常に重要」であると、2016年1月MIT Technology ReviewのインタビューでCRISPRセラピユティックス社CEOのロジャー・ノバク氏は話しました。

 「嚢胞性線維症、鎌型赤血球による貧血、血友病は遺伝子の突然変異によって引き起こされる疾患です。遺伝子コードがきちんと読めず、エラーがある状態です。ガンもまたゲノムによる病気です。」とマリック医師は述べました。

 「これらの遺伝性疾患は潜在的にこの技術(DNA編集)によって治療できます。他の分野への応用ですか?例えばガン治療にも大いに応用力はあります。」

 もちろん、体の他の部分への「オフターゲット効果」についての考慮はあります。またマリック医師は、臨床実験は手順にそって進められるため、研究者は「かなり注意深く」なると認識しています。

 DNA選択が神への冒涜になるかという哲学的な考慮について、同氏はこう述べました。「毎度哲学者は干渉しますが、自然の摂理に偶然出てきただけなのです。石器時代の人間が病気になれば死んでいました。薬はこのプロセスに介入したではないですか。」

 「ですから、いつも医者は介入して、神を冒涜していると言えるかといえば、私はそう思いません。これまでも現に医者はそうしてきましたから。」

 他の懸念として、テクノロジーが胎芽に使用されることがあります。セオリーでは遺伝学者は背を高くしたり、細くしたり、美しい見た目にすることが出来ますが、医者と科学者が本当にそんなことをすると思いますか?「そんなことを目的にはしていません。」とマリック医師。

 CRISPRセラピユティックス社は眼科学や心臓病を含む様々な疾患への応用のためにDNA編集に対し5年で40億USドルを投資する予定です。

 バイエルもまたベルサント・ベンチャー社というベンチャー企業と共同して、2016年12月に2億2,500万USドル投資し、ブルーロック・セラピユテックス社という幹細胞治療の会社を立ち上げ、人工多能性幹細胞(iPSC)の開発研究を行っています。

 1897年にバイエルの科学者であるフェリックス・ホフマンはアスピリンを総合的に使いましたが、その後80年間すべての医薬品は研究所を本拠地として科学的に作られました。しかし、1980年までに企業はタンパク質をベースにした医薬品製造を開始し、今は生きている細胞を使用することに近づいています。それは医薬品業界にとって「第三の革命」となるでしょう。そうマリック医師は述べました。


様々な細胞は治療に活用できますが、幹細胞は唯一人体のどの細胞も分化させることができる細胞です。

「胎芽には幹細胞がありますが、それらは脳細胞になり、肺・心臓・肝臓・腎臓になる素晴らしい細胞です。」と同氏は説明しました。

 しかしながら、倫理的思考によって、特にアメリカでは流産や中絶された胎児の幹細胞の使用については、2012年までその分野での応用は慎重に進められました。2012年、ジョン・ガードン博士と山中伸弥教授は、成熟細胞は導入されると多能化するという発見により、ノーベル生理学・医学賞を受賞しましたが、この発見により、色んな異なる細胞のタイプを作ることができるようになりました。

 彼らの仮説は皮膚細胞などの成熟細胞が導入されると再び幹細胞や多能化細胞になるというものです。マウスを使った実験から開始し、その次に人間の細胞で実験しました。そして、2007年までにその仮説が正しいか確認しました。後に、戻した幹細胞は再導入され、心臓や脳の細胞になることを発見しました。ブルーロック・セラピユティック社はこの取り組みが治療に応用できるか確認しているところです。

 今年3月、失明者を対象に幹細胞をベースにした治療法の臨床実験が日本で開始されました。ドナーの皮膚細胞をiPS細胞に導入し、網膜細胞になったものを、60代黄斑変性患者の網膜に移植しました。

 医療関係者はその細胞が病気の進行を止め、その男性患者が失明を回避することを望んでいます。眼科医で、神戸にある理化学研究所多細胞形成研究センターの高橋政代氏が、率先してその移植を行い、手術は成功しました。しかし、その最終的な効果についての判断には時間がかかるでしょう。

 ブルーロック社は幹細胞を脳卒中、心筋梗塞(心臓発作と同義)、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のような疾患の治療に活用できないか検討中です。

 「これらの非常に重い疾患に幹細胞を応用すれば、実際に患者を救うことができるかもしれません。」とマリック医師は述べました。「脳卒中や心臓まひの患者について考えてみてください。わずかな輸血が患者の筋肉へ提供され、最終的には瘢痕組織となり、薬を投与するだけの治療になるのです。しかし幹細胞を筋肉組織の瘢痕組織に入れ替えて使うことができれば大変画期的なことです。」

 同氏によると、「うまくいけば」この治療法の臨床実験は来年までにはスタートできているとしています。

 「未来は今、我々が共同研究によって築き上げています。そして私はこれらの新たな技術が本当に実現されるための仮説を作りました。しかし我々はこれらのソリューションを発見するために共に協力することが求められているのです。」

SETの衰退を食い止めるオフショア企業

上場企業の純利益が支えるもの

 タイ証券取引所(SET)幹部によりますと、タイ国内は不安定な経済状況であるものの、海外の多数企業による投資によって純利益は増加しており、市場の衰退を和らげる役目をしています。

 200社以上の上場企業が海外から投資をしており、107社の総利益のうち、47%がオフショア投資によるもの、とSETシニア・バイスプレジデントのパコーン・ピータタワッチャイ氏は述べました。

 「興味深いことに、タイに上場している海外企業の投資によって、中小企業よりも優れた純利益の増加を達成することができています。」と同氏。SETのデータ調べによると、572社のSET上場企業はトータル619社(非コンプライアンスや企業活動のない会社は除く)のうちの92.4%ありますが、2017年最初の3ヶ月で総純利益2,850億バーツで前年比21%上回りました。MAI上場企業のうち133社、つまり全139社の内の96%の企業によって11.8億バーツ、前年比4.1%増の総純利益を挙げたと報告されました。4月時点でSETとMAI上場の企業は時価総額281.9億バーツにより資金を増大しました。そのうち、271.9億バーツはSET、10億バーツはMAIで流通している株式です。

 最初の4ヶ月間で、合計資金は518.5億バーツにまで上昇しました。タイの株式市場は海外投資家から見て今でも魅力的な市場で、先月は18.3億バーツ、1月から5月11日までに83.5億バーツの買い取引がありました。しかしながら、不動産投資家は慎重です。売り買いの比率が昨年の同時期は53%〜55%だったのに対し、4月には49.4%まで下がりました。4月のSET・MAI両市場での取引額は、悲観的な市場感情により、年間平均401億バーツ、昨年同時期に比べて8.2%下がりました。

 しかし、5月11日付の平均取引額は少し上昇の415億バーツに上昇しました。4月末時点の両市場の合計資産は15兆8,000億の2016年の年末から1.9%上昇しました。SET市場の時価総額は、先月末時点で、前年比2.6%増の15兆5,000億バーツでしたが、MAI市場は24.6%減の3,210億バーツでした。4月末時点で、SETの配当利回りは3.2%、MAIは1.7%でした。

 平均的なデリバティブ取引として、4月に一日当たり244,808件の契約がありました。最初の4カ月間に、平均的なデリバティブ取引のボリュームは年度初めの一日当たり291,043件の契約にくらべて2.1%増となりました。個別株先物取引の増加が大きく影響しています。

 SETは、6月22日に「タイの大戦略運動」という題名で国内での講演会を予定しており、副首相ソムキット・チャトゥシーピタック氏も招待される予定です。

ハイテク健康管理がもたらす高齢化社会への恩恵

年配者向けのアプリから、医師が患者治療の効率化を目的としたビッグデータ分析にわたっており、ヘルスケア業界は変革の黄金時代に突入しています。

ヘルスケアの科学技術の発展により、非常に多くの人々が長生きするようになりましたが、高齢者が増えることで制度の限界が問題になりつつあります。病院は混雑を極め、特別な治療の為に長時間待たされ、看護・介護者も数に限りがあります。また高価な必須医薬品は多くの国でも事実として存在します。

90歳または100歳まで当たり前に生きる時代に社会は機能できるでしょうか、また全ての人々がより長生きするための費用はあるのでしょうか。以前は実際の治療を重視しており、現代ではヘルスケアコストを確保するため、健康診断や財源の有効活用により、予防に重点が置かれています。

「新しくさらに良い治療法を開発導入し、様々な病気、慢性疾患、特に高齢化社会において継続的に変革起こすことを目的に製薬会社やヘルスケア従者は事業を行っています。」とリアツ・ブクシュ氏は述べました。同氏は、タイバイエル製薬部門長でカンボジア・ミャンマー・ラオスも管轄しています。

 世界銀行によると、2050年までにアジア太平洋の4人に1人が60歳以上となります。製薬業界にとって、新薬の導入、そしてその薬をコンプライアンスとアドヒアランスの概念に基づき、患者自身が正しく摂取することで、ヘルスケア従者が患者により良い治療ができることを意味します。

 高齢者向けの主な試みの一つとして、処方された薬を摂取することを覚えることというのがあります。高齢者は物事を忘れっぽくなりがちです。また年を重ねると、体調が一定に定まらず、中には慢性疾患を抱えている人も出てきます。

 患者が正しく薬を摂取すれば、体調は良くなり薬の量も抑えられます。患者の負担費用が縮小され、政府の高齢者支援計画にとっても低いコストでの実現が見込めます。

「年を重ねて慢性疾患のリスクにさらされることは、結果的に様々な病気にかかり、いくつもの薬を摂取してしまう複雑な状態です。」とブクシュ氏。

実際のところはどうでしょうか。世界保健機関の世界医薬品状況のレポートによると、アジア太平洋における半数の患者は継続的に長期治療に頼らずにいます。

研究者が科学技術による患者コンプライアンスの向上を重要視しているのは周知の事実です。最近シンガポールで新たに開催されたGrants4Appsコンテストにも注目が集まっています。バイエル、NUSエンタープライズ、シンガポール国立大学がそのスポンサーをしています。

タイを拠点に開始したPillPocketは、第1回目のコンテストで集まった80のアプリの中から選ばれた3つのうちの1つです。他の2つはシンガポールのHolmusk(ホルムスク)社によるEyeDEAとGlycoLeapでした。

PillPocketは高血圧、高血中コレステロール、糖尿病の疾患を持つ患者あてに、薬剤師が直接アドバイスする仕組みのアプリです。モバイル端末用アプリの構成要素として継続的なケア、追加投薬や自宅への配送、無料の患者対応の薬剤師業務と連携されるチャットボットを搭載しています。

「中には薬を手に入れる為に、毎日早朝に起きる人、遠方からわざわざ出向く人、病院で薬が出てくるのを待っている人がいます。それでも到着するころには既に薬が尽きてしまうこともあります。つまり患者はあるのか分からないたった少しの薬を手に入れる為に1日を棒に振っているのです。」とPillPocket創始者のクリッティン・ティップサン氏はAsia Focusで発言しています。

またPillPocketには医薬品のチャットからアラームが出るリマインダー機能や、ユーザーが自身の健康状態を把握するのに役立つ機能があります。

一方、EyeDEAは1つで2役のメディケーションカードと高齢の緑内障患者が目薬を使用するよう身に着けるタイプのディバイスを開発中です。個人用の財布サイズのメディケーションカードによって簡単に必要な医薬品を提示することができます。

カスタマイズされた着用ディバイスには、緑内障患者向けに目薬を使用するタイミングでのアラームリマインダー機能があり、使用履歴も確認することもできます。そのデータは自動で医者と看護・介護者に共有されます。これは目が不自由でスマートフォンが苦手な高齢者にとってはとても画期的なソリューションです。

着用ディバイスはスマートフォンに繋げるとヘルスケア業界にとって大革命になる可能性を持っています。
それは、集められたデータで、心拍数、血圧、ストレスレベル、その他体調に関するバロメーターをリアルタイムでチェックすることができ、容易に担当者と共有することができます。

アプリは高齢化と関連した全ての問題に対応することはできませんが、正しい方向性で進んでいいるとブクシュ氏は考えています。しかしながら、開発中の社内アプリは多くの慣例的なヘルスケアビジネスにとって選択肢には入らないかもしれません。

<代表的な健康管理アプリ(アンドロイド版)>
タニタの無料健康管理アプリ ヘルスプラネット
超じぶん管理「リズムケア」
*リンクはアンドロイドのアプリダウンロードページへ飛びます。

別の方法として企業合併など組織を越えた成長戦略があります。しかし、このアプローチを続ける企業は必要な従来からあるヘルスケア事業者ではありません。

中国の最大インターネット会社の一つ、テンセント社は60以上もの事業を展開しており投資部門、調査部門、そしてそれらの約40%は健康事業に関連しています。

中国の同業他社であるアリババやバイドゥとともに、テンセントは現在イスラエルにチームを配置し、非営利団体エムmHealth Israel(エムヘルス・イスラエル)の創始者であるレヴィ・シャピロ氏とヘルスケア事業開始を模索しています。

日本を代表するインターネット及び通信会社のソフトバンクグループはTechMatrix(テックマトリックス)社と提携して、病院がレントゲン・CTスキャン・MRI画像などの医療データを共有できる手段を作り上げました。

X線技師は画像上の影や色から異常の有無、またはガン組織などの状態を検査します。しかし、未来の医者は患者に関するデータを見て、似たような症状と対比させるアルゴリズムを使うようになっているでしょう。

KPMGによると、ヘルスケア関連のベンチャー企業に対し、5年前の倍にあたる合計13.7億USドル規模、97の投資がなされました。アジアのヘルスケア業界では、昨年、医薬品やバイオ企業がベンチャーとして操業開始しています。このことから、ヘルスケア市場への潜在的関心が高まっていることがわかります。日本を除くアジアでは、2016年は3,000億USドル市場でしたが、2025年までに8,000億USドルまで規模が拡大するでしょう。

日本はアジアで唯一の寿命が80歳を超えている国ですが、ヘルスケアの市場規模は現在1,800億USドル、2025年までには2,000億USドルが見込まれます。特に注目されているのが30代40代とバリバリ働く若い世代が、これからの高齢化社会に伴って、少しでも長く健康で働くことを考えられているからです。

 新薬の研究開発は非常にコストがかかりますが、ほとんどの治療は既に症例があり、新技術によって治療に費やす期間は減っています。現在では治療よりも予防に重きを置くよう変わってきています。(先述のブクシュ氏コメント)

 Frost&Sullivan社はヘルスケアに関するコストのうち、治療費はトータルの70%を占めていた2007年に比べ、2025年には51%まで縮小されると算定しています。一方、調査により、予防や健康診断は30%から49%に拡大すると予想されています。

マッキンゼーアンドカンパニー社はビッグデータの活用と予防重視の風潮によって、アメリカ国内のヘルスケア費用は3,000億USドルと4,500億USドル程、または2011年に国が支出した2.6兆USドルの内12−17%の減少に繋がると予想しています。

マッキンゼー社はさらに、心臓病のリスクを抱える人が適切にアスピリンを使用すること、早期のコレステロールスクリーニング検査と禁煙を組み合わせることで、約300億USドル以上のコストが削減されると算定しました。

Asthmapolis(アズマポリス)社によって開発された新モニタリングディバイスには、ぜんそく患者の吸入器使用を記録するGPS追跡機能が入っています。そのデータは医療担当者が個人の治療計画や的を絞った予防に役立つはずです。
 
その他には、メンタルヘルス治療を支援するGinger.ioというモバイルアプリがあります。もしも患者が体調不良になったり不安感を感じた際、患者が共有することに同意したデータ(電話番号、メール、居住地、体調等)が医療担当者へ伝えられます。それらによって患者が動いていないことや睡眠パターンが不安定であると医療担当者が気が付くことができます。

アプリ、チャットボット、着用型テクノロジー、ビッグデータは未来のヘルスケアの形態であるのは明らかです。専門家がリアルタイムでチェックするので、患者は病院で過ごす時間が減るでしょう。しかしながら、医療専門家はそれでもなお従来の方法から変更する気はないとブクシュ氏は考えています。また「少なくとも私が生きている間に人間の医療従事者の代わりに人工知能が全てを行うようなことは起こらないでしょう。しかしそれでも我々が科学技術を用いた実用品を継続して開発することで、ヘルスケア業界の質向上につながりますし、良いことに変わりはありません。」

自己治療の危険から守るには「人間味」が絶対必要です。特に処方箋を用いるような場合、優秀な専門家が直接診察して、指導もすることは緊急時には重要となります。

「導入が完了するまでに、この業務が残るよう祈っています。」とシンガポール国立視覚センターのウォン・ティエン・イン教授は硬い表情で述べました。

「厄介だなというのが本音ですが、少し活用先としては不向きですね。我々が習得してきた技術は人間味で簡単に置き代えられるはずがないと、ほとんどの医療従事者は今実感しています。」と同教授はNUSエンタープライズ社主催の講演会で述べました。

「これには患者の声を聴き、患者を治療するという感情移入も含みます。患者のニーズや治療に関する全てのことについて理解をすることは、簡単に人間以外の代替品をたてることはできません。」

しかしながら、医者が望んでいない業務も多々あり、ウォン教授はこれらの業務はテクノロジーに委ねることに対して前向きです。例えば医師が大量の検査を行い、その分析に膨大な時間を費やしてデータを処理することが挙げられます。

「コンピュータで処理をするのに、なぜこれを人間がやる必要があるのでしょうか?グーグルで何か検索しようとして、アルゴリズムの仕組みについて知ろうとは思いませんよね。知りたいのは答えですよね。」と同教授は述べました。

大気汚染問題に躍起になるバンコク

タイの大気汚染問題に詳しいスパット・ワンウォンワタナー氏が、この十年でバンコクで変わったことと聞かれると必ず見せる写真が2枚あります。

1枚はかつてスモッグに覆われた街が、自慢できるくらいのきれいな青空に囲まれています。
 
これは1990年代半ばに撮影したもので、中心都市バンコクのスカイラインが見えます。ほとんどの建物はシルエットしか見えず、深いもやに包み隠されています。その当時、バンコクで最も高いとされたバイヨークタワー2はまだ工事中でした。

2枚目は、同じアングルで10年後に撮影したものですが、劇的に違うのが目に見えてわかります。雲の無い青い空と太陽の光に包まれる建物が見えます。

 「1990年代初期のディーゼル燃料とガソリンに含まれる硫黄は10,000パーツ・パー・ミリオン(ppm)でした。現在は、50ppmにも満たない数値です。」(同氏コメント)

これは、石油の天然成分が大気汚染の原因だということを裏付けています。

「科学技術の進歩によって排出ガスの削減が可能となりました。」(同氏コメント)

例として、クリーンな燃料を製造する加工工程、触媒コンバーターによって使い古されたパイプから出るガスの有毒成分を減らすことが挙げられています。
 
世界保健機関(WHO)は大気汚染について「公衆衛生上の緊急事態」と位置づけています。また同機関のデータによると、2012年には計算上650万人もの人々が室内外における大気汚染に関連する理由で死亡しています。これは全世界の死亡者数の12%に当たり、その大部分は大西洋と南アジア地域だと言われています。

「仮に20年、25年先まで何も対策をしていなければ、今頃バンコクがどうなっていたか私は想像できません。大気汚染によって人々は病に倒れていたかもしれませんね。」とスパット氏は身震いをします。
 
タイ天然資源環境省の公害管理局(PCD)前長官は、テクノクラシー提唱者の一人でありますが、1990年代バンコクの大気汚染抑制取り組みを指揮しました。

公害管理局は、石油会社や自動車産業からの強い抵抗にもかかわらず、燃料から鉛成分を取り除き、ヨーロッパの規定に基づいた排出ガスの調整を取り組み、工事用敷地の規制を実施しました。

今ではタクシーはクリーンな液化石油ガスや圧縮天然ガス燃料で走行し、オートバイも真っ黒な排気ガスを出しながら走ることはありません。

専門家によると、これらの取り組みによって、バンコクは北京やデリーのような他の大都市のような状況は回避できているといいます。

しかしながら、バンコクに住む熱狂的な車愛好家によって、再び大気汚染レベルが危機にさらされていると警告されています。2013年、国内で49,000人近くが大気汚染によって死亡していると、世界銀行とワシントン大学の共同研究が報告しています。

バンコク中心部のほとんどの場所は安全なレベルであると空気質指数(AQI)により明らかになっていますが、多大な健康リスクを引き起こすPM2.5のような微粒子はここに含まれていません。国際連合の事務局によると、バンコクのこれらの粒子の年間平均数はWHOが規定する数値の2.4倍であるといわれています。

「PM2.5は血管に侵入し、慢性的な健康被害を引き起こします。」と、グリーンピース東南アジアタイ国長官のタラ・ブアカムスリ氏は述べました。もしも空気質指数にこれらの粒子が含まれなければ、「包括的な見通しが立てられないでしょう。」と付け加えました。

厳しい排出ガスの限界値

専門家によると、900万人が居住しており労働人口にすれば1000万人以上になるバンコクでは、毎年乗用車の走行数は増加しているものの、比較的スモッグのない状態であると言われています。2017年最初の4ヶ月でバスやオートバイも含めて30万台が新たに導入され、合計で950万台にもなりました。

カーナビ会社のTomTomの世界交通指数で、メキシコシティに次ぐ交通渋滞のひどい国際都市ワースト2位にも関わらず、バンコクは人気観光地の空気の品質ランキングでは2015年はトップでした。

迅速な対応が求められる

「1990年代以降、乗用車の数は増加しています。そのため渋滞や排気ガスもさらに酷くなっています。これは大変な試練です。」とビチット・ラッタクル氏は述べました。同氏は1996年にバンコク都知事に選出され、その10年前に反大気汚染と環境保護財団を設立しています。

この試練の為に、PCDはユーロ5規定に同意する準備段階まで漕ぎ着けました。ユーロ5規定とは燃料の汚染物質の更なる制限で、2023年までの実現に石油各社が、2024年までの実現に自動車各社が同意しています。

「タイ政府がタイの産業界とともにこれらの政策を実行することが重要です。」と、タイ自動車産業技術協会会長であり、トヨタモータータイランドの副部長のティーラ・プラソンチャン氏は述べました。

現在はユーロ6が最新規定ですが、タイでは2012年よりユーロ4が採用されています。

30年間大気汚染問題に従事した後に退職。その後もPCDを支援しているスパット氏は、「過去6〜7年の改良は長い道のりのように見えても耐え忍ぶに値するものだ」と述べました。また大切なことは「計画を練ってそれを信じることです。」(同氏コメント)

好まれない決断

バンコクは他の東南アジア諸国の大気汚染を改善する手本であると、マニラを拠点としたNGO団体クリーン・エア・アジア副本部長のグリンダ・バタン・バテリーナ氏は述べました。また、これらの「排気ガス問題解決」については部分的に乗用車の排出ガスにテコを入れただけだと記しています。

「本当の意味での解決策としては、都市部への行き来に一度に大勢が利用できる交通システムが必要です。それは自家用車を使わないように促すためです。」と同氏。

バンコクは電車の本数を12本増本する計画中ですが、2029年までの実現は難しいでしょう。

その他、低排出ガスの電気自動車やハイブリッド車はいまだにタイでは普及していません。トヨタ社のティーラ氏によると、自動車製造業者はインフラやエネルギー供給の点での懸念がある為、対応を伺っています。

その一方、政治家や都市のリーダーたちは居住者の安全と健康を守る為、より高い空気質の基準を設ける必要があります。「最終的に行政は悪い場所を立ち入り禁止にすることができます。しかし、それは行政の目指すべき方向ではありません。」と同氏は語りました。

オフィスでのインタビュー中にビチット氏は、午後の時間帯のバンコク中心部にあるシーロム通りは人々から避けられるくらい大気汚染が深刻であるとため息をついていました。

「皆さん私をあまりよく思っていませんでした。毎朝車で家まで来て騒音を出していました。自動車業界からの大きなヤジです。」同氏は思い出しながらこうも述べました。「でも私には、そのヤジはあまり聞こえませんでした。」と。