人気店が連なるバンコクのオフィスビル

オフィスビルは企業へオフィスだけを提供しているわけではありません。カフェ、レストラン、コンビニやフィットネス、美容院など、リテイラーは新店やビジネスチャンスに適した場所を探しており、各方面からその要望が高まる中、それに対応するための出店スペースを確保しています。

JLL株式会社のタイ不動産情報センターによると、バンコク全域のオフィスビル内で賃貸可能な店舗スペースは約150万平方メートルです。その大部分は地下部、1階、2階にあります。ただし、シーロムコンプレックス(セントラル)、サイアムタワー(サイアムディスカバリー)、セントラルワールドのオフィス、ピラットタワー(エムクオーティエ)、エンポリアムタワー(エムポリアム)のようなオフィススペースと商業施設どちらも混在する建物は含まれていません。

オフィスビル内にある店舗用スペースの賃貸料は立地、人の出入りの回転、通りに面しているか、ビルそのものの質や知名度のようないくつかの条件によって変動しますが、良い立地ですと1階部分で月に1平米1,500から2,500バーツ、人気のない場所で700から1,000バーツです。スペースに限りがあることと、高い需要の為に、賃貸料は同じビル内でもオフィススペースに比べ断然高い傾向にあります。

上層階や地下のフロアの賃貸料は比較的安価です。一部、上層階でも高い賃料を求める場合も例外的にはあります。中2階や2階で駅と直結する場合に該当します。

ビジネスにおける適材適所:オフィスビルの1階にある典型的な店舗は、飲食店や銀行の支店です。近年、スターバックス、オウ・ボン・パンなどの有名コーヒーショップはこのようなオフィスビルの1階で強い存在感を出しています。PTT社の子会社であるカフェアマゾンは、駅では御馴染みのコーヒーショップですが、スターバックスなどと同様に商業施設やオフィスビルへも進出しています。

コンビニはオフィスビルの中でも新たな需要を生み出し、また違った小売り形態となります。特にセブンイレブンはオフィスビルへ積極的に進出しています。あまり人の出入りのないフロアでは、店舗は強いアピールポイントとマーケティング戦略をもって潜在的顧客を待ち構えています。フィットネスセンターと同様にフードコートやスーパーマーケットもまさにその代表例と言えるでしょう。

フードコートはオフィスビル内の地下または上層階でよく見られる店舗形態です。主にビル内で勤務する従業員を顧客としていますが、近隣にいる人々にとっても魅力的だと思われます。

歩行者がよく利用するオフィスビル内では、地下と上層階から簡単にスーパーマーケットまでアクセスできます。例えば、セントラルフードリテール社はサトーン通りにあるエンパイアタワーの地下、ワイアレス通りにあるオールシーズンズプレイス内CRCタワーの2階でトップスマーケットを運営しています。

慎重なアプローチ: リテイラーはオフィスビルへの進出へかなりの関心を寄せていますが、店舗の配置や場所を選択する際には慎重になります。人の出入りの回転や人口密度(ビルの利用者だけでなくそれ以外の訪問者も含む)はビルを選ぶ際の最優先事項です。人の出入りの回転が良ければより多くの人が店を訪れ、その分売り上げも見込める一方、適切な場所へターゲット層の顧客を呼び寄せることができます。

同様に、オーナーはテナント業者にできるだけ早くスペースを借りてもらう必要はあるものの、自分のオフィスビルにとって安全なリテイラーであるかについては非常に神経質になるものです。一般的に有名なブランドは好まれます。その一方で、無名の飲食業者であってもビルの利用者向けに手ごろな価格で食事や飲み物を提供することについても支持しています。ビル内店舗ビジネスとして実現性があるかどうかを重視しているのです。

Win-winの好機:バンコクで、立地条件の良いほとんどのオフィスビルには空き賃貸スペースがほぼ無く、満杯の状態です。可能なスペースの多くは新規物件かリニューアル工事の物件です。供給が引き締まる一方で、ブランドショップや新企業が設立される中で、新たなビジネスチャンスを従来の商業施設以外の場所に求めるリテイラーからの引き合いはとめど無い状態です。

元々店舗利用の為に設計されていない、広大な一階フロアスペースを有するオフィスビルのオーナーは、この高まる需要を獲得するためにスペースの形態変更を検討するかもしれません。不動産賃料でより多くの収益を得るだけでなく、ビルの競争力を高めることによる為です。企業テナントがオフィスビルを選ぶ際、優先事項の中に店舗サービスも入っています。