タイ石油公社(PTT)は国内の石油と天然ガスのコングロマリットですが、資産譲渡の進行に思っていたよりも長い時間がかかるため、その全額出資子会社であるPTTオイル・アンド・リテール(PTTOR)のタイ証券取引所(SET)上場計画を2018年から2019年まで繰り延べるかもしれません。

PTT社の石油部門のシニア・エグゼクティブ・バイスプレジデントのオウトポル・レッピブーン氏によると、親会社からPTTORへの資産譲渡は、Private Investment in StateUndertakings Actに従って、民間公共パートナーシップの決議委員会からの承認が必要なため、当初の予定よりも時間がかかっているとしています。

また多くのPTT社資産は国の機関との賃貸契約が結ばれており、PTTORへ譲渡される資産はPrivate Investment in State Undertakings Actに基づいて処理されなければなりません。

以前、PTT社は今年度の下半期にPTTORへ資産譲渡完了し、2018年の初めには新規公開株(IPO)と同様に上場のための準備にも取り掛かると見込んでいました。膨大な面積の賃貸土地に設置されている200カ所以上の給油所がPTTORへ譲渡されます。PTT社の株主は資産の内1,220億バーツ分をPTTORへ譲渡することを承認しています。PTTOR社のIPOプログラムにおけるファイナンシャルアドバイザーは、資産譲渡の完了後、選任される予定です。PTTOR社がSETへ上場すれば、PTTエクスプロレーション&プロダクション社、PTTグローバル・ケミカル社、タイオイル社、IRPC社、GPSC社に続く、PTT社の6番目のコア事業となる見通しです。PTTOR社の主な資産には国内外の石油事業部門と非石油事業部門、石油パイプライン、航空燃料サービス、クッキングガス、潤滑油、調理用ガスが含まれています。国際石油貿易部門とクッキングガスの拠点は、それでもPTT社の管轄のままでしょう。PTTOR社は資本金87.8億バーツを申請しており、1株100バーツとしています。譲渡完了後、その資本額はさらに増えると考えています。PTT社の社長兼最高経営責任者であるテウィン・ウォンワニット氏によると、PTTOR社に対し保有株式45〜49%を計画しており、残りはIPOを通して浮動させる計画です。

海外投資家は全浮動株の25%までを上限にされています。PTTOR社は2021年までに1,500から1,800カ所の給油所を新たに設置する計画です。PTTOR社は、2020年までに、カンボジア、ミャンマー、ラオス、フィリピンにある給油所を170カ所から500ヵ所に増設する計画です。また同社は、2020年までにはアマゾンカフェを、通常店舗と給油所の併設店の両方の合計2,700店舗まで拡大する計画です。これにより過疎地域も含め大幅な人材の雇用促進が期待されています。潤滑油について、PTTOR社は、中国・インドに製造拠点を建設し、PTTブランド向けに両国から原材料を調達する計画です。PTTOR社は昨年度の総売上は4,840億バーツで、前年の5,110億バーツから減少しましたが、その一方で、純利益は99億バーツから161億バーツへ上昇したと報告しました。PTT社の株は昨日タイ証券取引所の終値で393バーツで変わらず、15.8億万バーツで取引を終えています。